雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
〇警察署(夕方)
交通事故ゼロの街という垂れ幕が掛かっている警察署。
地元では1番大きく、入り口には制服姿の警官が2人立っている。
そこに駆け込む、陽和。
1階の受付に向かったところ、ちょうど2階からスーツ姿の男性(以下・刑事)に連れられて颯が降りてきた。
陽和「颯!」
颯は一瞬泣きそうな顔をしたものの、表情を固くして下を向く。
刑事「お姉さんですか?」
陽和「そうです! あの、一体何があったんですか?」
刑事「同級生の男子を殴って怪我をさせました」
陽和「怪我!? 何かの間違いじゃないですか? うちの颯はそんなことしません」
刑事「本人は認めています」
陽和「そんな!どうしてそんなことをしたの!?」
刑事「まぁまぁ、お姉さん。本人は反省しているみたいですし、相手のご両親も大事にする気はないと言ってくれています。あとは示談に向けてお互い話し合って、」
颯「……話し合う必要はない」
陽和「颯!」
颯はプイッと顔を背け、先に歩いて行く。
その姿を見て刑事が大きなため息を吐いた。
刑事「最近のガキは、何を考えているか分からん……あぁ、失礼」
陽和「いえ、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
刑事「まぁ、あとは家庭でしっかり話し合ってください。今後は弁護士が必要になるでしょうから、法テラスにでも相談すると良いでしょう」
陽和「お世話になりました」
警察署を後にする陽和。
大きな夕日が街を朱く染めている。
その中をトボトボ歩く颯の姿を見つめ、どうしたものかと頭を抱える。
――と、そこで電話が掛かって来た。
雨宮だ。
雨宮『何をしている? 今、どこだ』
陽和「すみません……」
雨宮『今はどこだと聞いている』
陽和「警察署を出たところです」
雨宮『警察?』
交通事故ゼロの街という垂れ幕が掛かっている警察署。
地元では1番大きく、入り口には制服姿の警官が2人立っている。
そこに駆け込む、陽和。
1階の受付に向かったところ、ちょうど2階からスーツ姿の男性(以下・刑事)に連れられて颯が降りてきた。
陽和「颯!」
颯は一瞬泣きそうな顔をしたものの、表情を固くして下を向く。
刑事「お姉さんですか?」
陽和「そうです! あの、一体何があったんですか?」
刑事「同級生の男子を殴って怪我をさせました」
陽和「怪我!? 何かの間違いじゃないですか? うちの颯はそんなことしません」
刑事「本人は認めています」
陽和「そんな!どうしてそんなことをしたの!?」
刑事「まぁまぁ、お姉さん。本人は反省しているみたいですし、相手のご両親も大事にする気はないと言ってくれています。あとは示談に向けてお互い話し合って、」
颯「……話し合う必要はない」
陽和「颯!」
颯はプイッと顔を背け、先に歩いて行く。
その姿を見て刑事が大きなため息を吐いた。
刑事「最近のガキは、何を考えているか分からん……あぁ、失礼」
陽和「いえ、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
刑事「まぁ、あとは家庭でしっかり話し合ってください。今後は弁護士が必要になるでしょうから、法テラスにでも相談すると良いでしょう」
陽和「お世話になりました」
警察署を後にする陽和。
大きな夕日が街を朱く染めている。
その中をトボトボ歩く颯の姿を見つめ、どうしたものかと頭を抱える。
――と、そこで電話が掛かって来た。
雨宮だ。
雨宮『何をしている? 今、どこだ』
陽和「すみません……」
雨宮『今はどこだと聞いている』
陽和「警察署を出たところです」
雨宮『警察?』