雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
――と、
雨宮「ひぃよぉこぉおおおおおお」
ドアが開いた瞬間、雨宮が情けない顔をして立っていた。
髪や上半身がずぶ濡れで、なぜか泡までついている。
陽和「しゃ、社長!? どうしたんですか、一体」
雨宮「助けてくれ……」
雨宮に連れられ、彼の部屋に入った陽和はあんぐり口を開けた。
バスルームから廊下まで泡だらけになっている。
陽和「何をどうやったら、こうなるんですか?」
雨宮「洗濯だ」
陽和「洗濯ぅ!?」
雨宮「昨日、ひよこがあまりにもドン引きした顔で僕を見るから、少しは自分で片づけようと思ってやってみたんだが……なぜだろう、爆発した」
陽和「洗濯機が爆発するわけないでしょう!? 入れ過ぎなんですよ、水も!洗剤も!洗濯物も!!」
あぁもう何をやっているんですか!
慌ててバスルームに行き、洗濯機を見るとなぜか洗濯機のホースと蛇口が離れており、そこから水が勢いよく出ている。
これじゃぁ、泡だらけになるはずだ。
陽和は水を止めて、泡が広がった場所にバスタオルを置いていく。
陽和「今時、よくこんな年代物の洗濯機を使ってますね(うちと同じ型だ)」
雨宮「いや、使ったのは今日は始めてだ」
陽和「それ自慢するところですか」
雨宮「買い換えた方がいいか?」
陽和「ちゃんと使えば、まだ動きますよ。ということで、これからは私がちゃんと扱いますので、社長はもう自分でしないでくださいね」
洗濯機の周りを拭きながら話していた陽和は、振り向いてギョッとした。
雨宮がTシャツを脱ぎ、上半身裸になっていたからだ。
細い割にガッチリと筋肉がついた綺麗な身体に、目がくらくらする。
それでなくても髪から雫が垂れ、艶めかしく光っているというのに――。
陽和「ふふふふふ服を着てください!!」
雨宮「残念ながら、最後の1枚がコレなんだ」
と、雨宮はさっきまで着ていたTシャツを指さす。
陽和「全部、洗濯機の中に?」
雨宮「うん」
陽和「信じられない!!」