雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
信じられないとばかりに目を吊り上げる陽和。
反して雨宮は冷ややかな顔をしている。
雨宮「こちらも時間がない。早く決めてくれないか? 」
陽和「結構です」
雨宮「治療費と慰謝料を合わせて10万……20万でいいか」
陽和「要りませんって」
雨宮「分かった、50万で手を打とう。榊、領収書を用意しろ」
榊「は、はい……」
陽和「あんたねぇ、」
怒りに震える陽和。
陽和「失礼にもほどがあるわよ、誰が当たり屋よ。 慰謝料なんて要らないってば!ふざけんな!」
ポカンとする雨宮、榊。
陽和「だいたい、何? 運転手さんはともかく、あんたは謝りもしないで、お金で解決? 何が50万で手を打とう、よ。感じ悪い」
雨宮「何だと? 人がせっかく親切で金を出してやろうとしているのに」
陽和「だから、それが失礼だっていうの! ほんっと不愉快」
雨宮「不愉快はこっちも同じだ」
陽話「あっそう、じゃぁ、もう関わないでよね。二度と私の前に現れないで!」
指を突き立て言い放つ陽和。
榊にだけ、ぺこりと頭を下げて去って行く。
雨宮「なんだ、あの女……」