雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
3章 スーパー秘書になります!
〇花里家(朝)
陽和が起きたところから、出かけるまでの動き。
~陽和の心の声~
私の朝は、鳥のさえずりが聞こえだす4時半から始まります。
兄弟たちのお弁当作りに、朝ごはんの用意。
散らかった部屋の掃除・洗濯・猫の額ほどの庭の手入れ・水やり。
自分の身支度をして、兄弟たちを起こしご飯を食べさせて、
6時過ぎには家を出ます。
陽和「じゃぁ、あとお願いね」
匠「あ、まってお姉ちゃん。これ、この前もらった遠征費の残り」
そう言って、匠はお金を陽和に渡す。
陽和「いいよ、いいよ。残りはおこづかい」
匠「でも」
陽和「ちゃんとお給料もらってるから心配しなくても大丈夫だよ。ほら、なんだっけ?匠が前に欲しいって言ってたカメラ。それを買う足しにして」
匠「それは嬉しいけど、ほんっとに大丈夫な会社なんだよね? 仕事の服とかいっぱい買ってもらったみたいだけど、気前が良すぎて逆に怪しいというか……」
陽和「怪しくは、」
言いかけたところで、扉が開き居間から颯が出てきた。
ジャージ姿で三和土に座り、靴を履き始める。
颯「心配しすぎなんだよ、匠兄ぃは。今までお姉ちゃんが大丈夫って言って、大丈夫じゃなかったことなんかないだろ」
匠「それはそうだけど」
颯は、陽和の顔をちらっとみて微かに頷く。
それに、陽和は笑い返した。
陽和「じゃぁ行ってくるね!」
颯「俺もランニング行ってくる」
陽和「じゃぁ、途中まで一緒にいこう」
颯「イヤ……」
陽和「なんでよぉ、あ、まって逃げるなー」
〇雨宮のマンション(朝)
笑顔で元気よくコンシェルジュに挨拶をし、エレベーターに乗り込む。
雨宮の部屋のドアをあけ中に入ると、またも床の上で雨宮が行き倒れている。
陽和「また? もう、そんなところで寝たら風邪引きますよ!起きてください!」
雨宮「……朝っぱらから耳元でピヨピヨわめくなよ」
陽和「誰がひよこですか!」
とろけるような笑顔で陽和を指さし、そのまま目を閉じる雨宮。
陽和「あっ、もう!寝ちゃだめですー!」