雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません

加藤「昨日のJスタ見た?」
匠「見た見た」
加藤「超、面白かったよなぁ」

雑談をしながらバックルームに入る加藤と、匠。
煙草を口に咥えた加藤が、「コンビニへ行こうぜ」と言った時、匠のスマホが音を立てた。
メールのようだ。

匠「ごめん、先行ってて」
加藤「何、女?男?」
匠「どっちでもないよ」

スマホを覗き込もうとする加藤。
匠は身体をねじって見られないようにしたけど、遅かった。

加藤「なんだ、例のスカウトかよ」
匠「うん、まぁね」
加藤「もちろんOKするんだろ」
匠「いや……」
加藤「なんでだよ、ずっと憧れてたことだろ?芸能事務所から声がかかるなんてチャンスじゃねぇーか」
匠「そうだけど」
加藤「じれったい奴だな、こういうのは勢いが必要なんだぜ」
匠「あ、ちょっと!」

加藤は匠のスマホを奪い、メールの返信を送った。


〇某美容室(夕方)
都内某所のお洒落な美容室で何故かヘアメイクをされている陽和。
メンズ雑誌から飛び出たようなイケメン美容師と、金髪関西弁美容師が担当のようだが、はげしくノリノリで陽和は若干引いている。

イケメン美容師「いーじゃん、可愛いね!ラーメン、イケメン、俺天才!」
関西弁美容師「自分で言ってどないすんねん、自意識過剰な奴やな」
イケメン美容師「じゃぁ、可愛くないって言いたいわけ?」
関西弁美容師「いや、超絶可愛ええ!結婚してください」
イケメン美容師「あーずっる!俺が先にプロポーズしようと思ってたのに、ずっる!」
関西弁美容師「あほか、世の中早いもん勝ちやで」
陽和「あのぉ~~」
イケメン美容師「はい!なんでしょうか?プリンシャス!」
関西弁美容師「嚙みやがった、だっせ!」
陽和「あの、この状況って一体どういう……」
関西弁美容師「あれ、もしかして分からずに来たんかいな」
陽和「私はただ、社長に美容室に行けとしか」

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