雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません

てっきり用事があって美容室に行かされたと思っていた陽和。
ところがなぜか席に通されてヘアメイクをされたから驚いている。

イケメン美容師「俺たちは雨宮社長から、うちの秘書を可愛くしてやってくれと頼まれたの」
関西弁美容師「そうそう! 後はリップ塗って完成やで~」

ヘアメイクが終わり、彼らの言う通りいつもより可愛くなった自分がそこにいる。
そしてこれまたなぜか届けられていたドレスに着替えさせられて受付に向かうと、雨宮が高そうなスーツを着た待っていた。
彼もヘアセットをしてもらったのか、カッコ良さが3倍増している。

陽和「しゃ、社長、あの」
雨宮「へぇ……」

目を見開く雨宮。
陽和の後ろでイケメン美容師と関西弁美容師がピースをしている。

雨宮「まぁ、あれだな。馬子にも衣装ってやつだな」
陽和「怒りますよ」
雨宮「せっかく可愛くしてもらったんだ、今日は怒らない方がいいぞ」
陽和「(かわいい……)」
雨宮「じゃぁ、行こうか」
陽和「ま、まってください! 行くってどこに?」
雨宮「もちろんパーティだ」

〇AMAMIYAFOODS社用車(夜)

榊が運転する社用車の中、本日のパーティについて説明を受ける。
向かう場所は、某高級ホテルのようだ。

榊「~~ですので、各著名人が集まりますが、緊張しなくて大丈夫ですよ」
陽和「緊張しますよ! というか、こういうのは米山さんの方が向いているのでは?」
雨宮「どうしてヨネさんが?」
陽和「秘書といえば、会場で会った人の名前とかプチ情報を社長の横で呟く仕事があるんじゃないですか?(スーパー秘書のイメージ))」
榊「あぁ~あれですか」

榊がふふふと笑う。

雨宮「心配しなくても、パーティーで会う人間の名前は全部僕の頭に入っている」
榊「むしろ心配して欲しいのは、いつまで経ってもパートナーが決まらない社長の無精さですね。いい年してパーティーに連れていく彼女の1人もいないとか、もしかしてあなたは童……」
雨宮「榊?そんなに早く棺桶が欲しいのか」
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