雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません

陸「嘘つくなよな~。ゆいゆいは今日も保育園でお漏らししたんだって」
ゆいゆい「お漏らししてないもん、ちょっとしっこでただけだもん」
陸「それをお漏らしって言うんだよ、ばーか」
陽和「こら、陸。ゆいゆいを虐めるんじゃないよ。宿題やったの?」
陸「や、やったよ」

目が泳ぐ陸。
怪しいな~と言いながら2人を引き連れて居間に入ると、食卓にメイク道具を広げスマホで自撮りしている上の妹(和奏・高1)と、真ん中の弟(颯・中1)が喧嘩している。

和奏「はぁ? もう一回言ってみな」
颯「ブスが盛ったところでブス……」
和奏「酷い!ブスって2回も言ったー」
颯「そっちが言えって言ったんだろ」
和奏「お姉ちゃんー!颯がぁ」

陽和「はいはい、テーブル片づけて。お母さんは?」
陸「2階で寝てるー」
陽和「また? しょうがないなぁ」

陽和が2階にあがろうとすると、台所で夕飯の準備をしていた上の弟(匠・19歳)が首を左右に振って陽和を止める。

匠「寝かせててあげようよ、昨日は遅くまで起きていたみたいだから。それよりお姉ちゃん、今朝、電話で伝えた件だけど」
陽和「あぁ、名古屋までの遠征費だよね。うん、何とかするよ」
匠「ほんと!? ありがとう、お姉ちゃん大好き」
和奏「お姉ちゃん、匠兄ぃに甘すぎ! たかだかコスプレの集まりでしょ? そんなのに行くお金を出すなら、私の新しいスマホ買ってよー」
匠「たかだかコスプレの集まりなんて酷い!コスプレは私の唯一の趣味なのに」
和奏「私だってお洒落したいもん、ずるいー」
颯「うっせぇな、匠兄ぃはいつも家事してくれてるからいいんだよ。羨ましかったらお前も手伝えよ、ブス」
和奏「何よ、私だってねぇ」

陽和「あーもー、うるさい!喧嘩するなら遠征費もスマホ代も出さないからね! あと、颯は口の悪さを直しなさい。陸は宿題する! ゆいゆいはお母さんの様子を見て来て」

弟&妹「はーい」
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