雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
花里家には父が居ません。
一家の大黒柱は母は、いつも疲れていて家事や子育をあまりしないので、長女である陽和が兄弟たちの面倒を見ているのだけどー。
個性的かつ賑やかなメンバーに振り回されている。
匠「みんなー!ハート型のハンバーグか焼けたよ」
豆腐70%の節約料理を作るジェンダーレスな長男。
和奏「このワンピ可愛いー欲しいー」
読者モデルに憧れている今時JKの次女。
颯「ちょっと、ランニング行ってくる」
反抗期真っ只中、ボロボロの靴で走りに行く野球バカの次男。
陸「ヒ◯キン、面白ええええ」
youtube大好き、勉強は苦手なお調子者三男。
唯和「ひぃたん、ハイ!お箸!」
花里家の天使、三女。
築35年のボロ家に年代物の家電、大家族……。
花里家はいつもお金がない。
陽和は自分のスマホを見て小さく溜息をつく。
液晶画面がバリバリに割れている。
せめて、スマホの修理代だけでも貰えばよかったかな。
ううん、あんな奴のお金なんて絶対に要らない!
匠「おねえちゃん? どうしたの?」
陽和「ううん、なんでもない!さ、食べよう」
陽和「(皆んなのためにも、就職して稼がなくちゃ!)」
〇青空保育園の前(夕方)
ここは花里家の兄弟たちがお世話になった保育園で、現在はゆいゆいが通っている。
顔見知りのママさんや先生たちに挨拶を交わしつつ、陽和はゆいゆいが出てくるのを待っている。
ゆいゆい「せんせぇーさよーなら! ひーたん帰ろ!」
……天使!
可愛すぎるゆいゆいに表情筋が緩む陽和。
ゆいゆいと手を繋いで、自宅に向かう。
ゆいゆい「ひーたん、今日の面接はどうでしたか?」
陽和「うっ、いきなり痛いところをつくね」
ゆいゆい「痛いのぉ? なでなでする?」
陽和「ありがとう、ゆいゆいのお陰で頑張れる」