キャラメル・ミント
ドサッ。
夏希さんをセミダブルのベッドの上に降ろした。
「ちょっと、湊!わたしまだ飲み足りないんだけど」
ベッドの上に降ろされて、男と2人だというのに、危機感が無いのか。それとも男と認識されていないのか。きっと、後者だ。
それに腹が立ち、俺は、仰向けに寝ている夏希さんの上に馬乗りになった。
「ど、したの?」
「夏希さん、俺、男ですよ?」
「分かって、」
「ないですよね?この状況で、どうして冷静なんだよ」
本当に腹が立つ。
男として見てくれない夏希さんにも、こうやって八つ当たりしている俺にも。
「だって、」
「っ、」
夏希さんは、馬乗りになっている俺の頬に触れた。
「湊は、わたしの嫌がる事しないでしょ?」
「……、」
「昔からそうだった。さっきの車の中でも、手を出そうと思えば出せたのに、しなかった。湊は、絶対、わたしが嫌がる事はしない」
ああ、敵わない。夏希さんには、一生。