キャラメル・ミント
「え、っと」
「迎えに来ました。帰りましょう」
わたしの声を遮ったのは、長身で、アッシュブラウンの髪を無造作にセットしていて、顔立ちの綺麗な男。
そして、わたしの手を引きながら歩き出し冒頭に戻る。
「俺、車で来てるんで」
「ねぇ、どうして、」
「はい、乗ってください」
気付けば、近くに止めてあった黒のセダン車の前にいて、彼は助手席のドアを開け乗るように促し、わたしは渋々乗り込んだ。
そして、ドアを閉めると、彼は運転席へと乗り込み、エンジンをかけ車を発進させた。
車内は、今流行りの邦楽が流れているだけで、お互い何も話さない。そんな気まずい雰囲気で、少し酔いが覚めてきた。
「どうしてここに?」
「和真 ( カズマ ) が教えてくれたんですよ」
「え!和真が!?」
和真は、わたしと4歳離れた弟。
そして、この男は、逢坂 湊 ( アイサカ ミナト ) 。和真の友達だ。