暗鬱な君に花束を



…どうやら眺は、ちょっと謎なところがあるのかもしれない。


「…眺も、ツラいこと経験してたりするのかな…」


「え…?美羽、“も”って?」


「あ…いや……なんでもない」


ほぼ無意識で出ていた言葉が、礼奈ちゃんにも聞こえてしまったらしい。


礼奈ちゃんに噓をつくのは心苦しいけど、きっと礼奈ちゃんに心配をかけてしまう。だから、言えない。


友達になってまだ一時間も経ってないけど、きっと礼奈ちゃんは心配してくれる。


「…もー。まぁ会ったばっかりだし、今はまだ何も言えないかもしれないけど。言えるようになったら、教えてね」


「…!うん…!ありがとう、礼奈ちゃん…。だいすき」


「……いつか悪い男に騙されないか心配なんだけど」


本当にいい友達ができたなぁ…なんてウキウキしていた私は、礼奈ちゃんが頭を抱えていたことになんて全然気がつかなかった。


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