暗鬱な君に花束を







入学式がはじまった。名簿順に並んで座っているから、私の隣には眺がいる。


…イスとイスの間が教室よりも狭くて、脚同士がくっつきそうでドキドキする。早く終わってくれないかな、入学式なんて。


『──続きまして、新入生代表あいさつ。新入生代表、関根(せきね)雨月(うげつ)


「はい」


なんか、かっこいい名前だな。


そんなことをぼんやり考えていると、隣からツンツンとほっぺたをつつかれた。びっくりして思わず声を上げそうになったけど、一生懸命こらえた。


「な、眺……式の最中だよ?」


「ごめんごめん。でも、美羽がアイツのことキラキラした目で見てたから、つい」


…ナイショ話ってだけでドキドキが最上級なのに、余計にドキドキさせてくる眺。ほんとにズルい。


それに、別にキラキラはしてなかったと思うけどな。


「…眺、それってヤ…ヤキモチだったりする?」


座ってるのに私より目線が高い眺を見上げながら、不安混じりに尋ねてみる。


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