暗鬱な君に花束を



──キーンコーンカーンコーン


この学校に来て初めて聞いたチャイムの音。やっぱりどこの学校もあまり変わらない気がした。


「…お前ら席に着けー」


いつの間にか来ていた、ジャージ姿の見るからに体育会系の先生が、やる気なさそうな声でそう言った。


…先生、今から入学式なのにジャージでいいんですか。そう思わずにはいられない。


何かが始まるのだろうと思い、ぼんやりしていたけれど、何も始まる様子はない。


それどころか、先生が来て数分経っても、ざわめきが消える気配はない。


しばらく静かになるまで待っていようとした先生も、ついに痺れを切らしたらしい。


「…出欠確認すっから黙れー」


少し大きめのその声が聞こえた瞬間、誰もが黙り込んだ。


その様子に満足したような先生は軽く微笑んで、名簿らしきものを取り出した。


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