暗鬱な君に花束を







「はぁ……ずっと座ってたから体痛い」


「ホントだね」


結局あれから眺が話しかけてくることはなく、式は終わった。


長い間座っていたから体が痛くなったらしい礼奈ちゃんは、大きく伸びをしている。私も体がおかしくなりそうなので、軽いストレッチ運動をした。


「ねぇ美羽?」


「ん…?」


「式の最中、椎名と話してたよね?」


「う、うん…」


気づかれてたんだ……って思ったけど、少し考えたら当然だとわかった。だって礼奈ちゃんは眺の隣に座ってたんだ。つまり、私の隣の隣。


いくらコソコソ話してたとはいえ、礼奈ちゃんにも聞こえてたはず。


「なに話してたの?」


「え……ええっと…」


“なに”と聞かれても、パッと答えられない。なんて言えばいいんだろう。


「あ、あのね!新入生代表あいさつやってた人、同じクラスの人なんだって…!それで、眺がもう友達になったんだって言ってた」


「ふーん?私はヤキモチがどうとかも聞こえたけど」


< 20 / 68 >

この作品をシェア

pagetop