暗鬱な君に花束を



──ドキッ


礼奈ちゃんに指摘されたところはたぶん、私が無意識に言わなかったところ。


なんて説明したらいいかわかんなくて、隠そうとしたところ。


「あの…自分でも頭の整理ができてないから、うまく説明できないんだけどね、」


「うん、ゆっくりで大丈夫だよ。聞かせて」


「でも、ここじゃ人多い……」


なにせ今は、体育館から教室まで戻る最中。


最初はみんなちゃんと並んでいたけど、やがて列なんてものは役割を放棄していて。


もともと近くにいた私と礼奈ちゃんはすぐに、隣に並んで喋ってしまっている。


後ろにいたはずの眺も、どっかに行っちゃった。


「…あ!じゃあ、帰り道デートする?私と美羽で!どこかでゆっくり話して、どんどん親睦を深めよ……って、あ」


「どうしたの?」


「新しいクラスになったから、もしかしたらクラスで親睦会とかやるのかも。中学ではそうだったんだ。…お金とか持ってきてる?」


「うん。そんなにいっぱいじゃないけど、五千円くらいは」


…って、わざわざ額まで言う必要なかったか。


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