暗鬱な君に花束を
そんな話をしているうちに、教室に着いた。
私と礼奈ちゃんの席は前後だから、ギリギリまで話していられる。
私の隣の席にはもう眺がいて、入学式の前は空白だった眺の後ろの席に、さっきの新入生代表の関根くんがいた。
「…あ、私の隣の席、人がいる」
「ホントだね。さっきはいなかったのに。…でも眺、さっき話して友達になったって言ってたけど…どういうことなんだろ」
眺が後ろを向きながら、さっきあいさつをしていた…関根くんと楽しそうに話している。
チラリとこっちを見た眺は私たちに気づいたようで、軽く微笑んだ。
「美羽~。…と、渋谷」
「私はオマケなのか」
礼奈ちゃんのツッコミに苦笑した眺は、関根くんの方を向いて、
「さっき話してた二人。三条美羽さんと渋谷礼奈…さん」
「…どーも、関根雨月です」
さっき聞いた声よりも少し低めの声。会釈をした彼は、真っ直ぐに私たちを見つめてくる。
…あ、そっか。私たちが名乗るの待ってるのかな。
「三条美羽です……。えっと…さっき眺と友達になりました」