暗鬱な君に花束を



そんな話をしているうちに、教室に着いた。


私と礼奈ちゃんの席は前後だから、ギリギリまで話していられる。


私の隣の席にはもう眺がいて、入学式の前は空白だった眺の後ろの席に、さっきの新入生代表の関根くんがいた。


「…あ、私の隣の席、人がいる」


「ホントだね。さっきはいなかったのに。…でも眺、さっき話して友達になったって言ってたけど…どういうことなんだろ」


眺が後ろを向きながら、さっきあいさつをしていた…関根くんと楽しそうに話している。

チラリとこっちを見た眺は私たちに気づいたようで、軽く微笑んだ。


「美羽~。…と、渋谷」


「私はオマケなのか」


礼奈ちゃんのツッコミに苦笑した眺は、関根くんの方を向いて、


「さっき話してた二人。三条美羽さんと渋谷礼奈…さん」


「…どーも、関根雨月です」


さっき聞いた声よりも少し低めの声。会釈をした彼は、真っ直ぐに私たちを見つめてくる。


…あ、そっか。私たちが名乗るの待ってるのかな。


「三条美羽です……。えっと…さっき眺と友達になりました」


< 25 / 68 >

この作品をシェア

pagetop