暗鬱な君に花束を
…眺は。
わかってたのかな、こうなること。
なんて、ニコニコしてる眺に心の中で問いかけても、答えが返ってくるはずもない。
「そういえば雨月くん、」
「なに?」
「入学式の前、どこにいたの?」
「廊下。教室とか、うるさいだけだし。どうせ俺は入学式のリハーサルやる予定だったから。ずっと廊下にいた。…ら、ソレが話しかけてきた」
そう言いながら、眺を指さす。
眺は、「“ソレ”ってヒドくね?」とか言いながらも、なんだかんだで楽しそうにしている。
「…美羽、」
「へ?」
「俺も美羽のトモダチってことでいいの?」
コテンと首を傾げながら聞いてくる雨月くんがかわいい。
私は嬉しくて、最上級の笑顔で言った。
「もちろんだよ、雨月くん…!」