暗鬱な君に花束を

けだるげな声で、先生がクラスメイトたちの名前を呼んでいく。


自分の名前が呼ばれる順番が近づいてくるうちに、それに比例するように、ドキドキと心臓が速く動く。


「…三条(さんじょう)美羽(みう)」


「はいっ！」


…うぅ。声が若干裏返ってしまった。最初が肝心だというのに。


「椎名(しいな)眺(ながむ)」


「…はい」


私の次に呼ばれたのは、隣の席の男の子。


チラッと見ただけでもわかる、爽やかなイケメンくんだった。


…ずっと緊張してて周りを見てる余裕なんてなかったからな。爽やかオーラが見えるくらいだというのに、全然気づかなかった。


「…渋谷(しぶや)礼奈(れな)」


「はーい」


次に聞こえたのは、後ろからの声。先生に負けず劣らず、けだるげな声。


真後ろだから、しっかり振り向かないとどんな子なのかは見られない。私に、露骨に振り向く勇気はなかった。