暗鬱な君に花束を
「男子とかめんどくさいし。美羽といた方が絶対いいに決まってる」
「ふふ…ありがとう」
「じゃあ、私たちはそろそろ帰ろっか」
「うん」
荷物を持って、私は立ち上がる。
「あ、美羽」
「えっ、」
不意に、眺に声をかけられた。そういえば、眺や雨月くんは親睦会に参加するのだろうか。
「また明日」
「…じゃあな」
手を振ってくれる眺と、軽く微笑んでくれた雨月くん。
今まで帰り際に誰かとあいさつすることなんてなかったから、なんだかくすぐったい。
「うんっ!またね!」
私も二人に手を振り返して、先に廊下に出てしまった礼奈ちゃんを追って、教室を出た。
ウキウキしていた私は、眺や雨月くんの顔が真っ赤だったことになんか、気づいてなかった。