暗鬱な君に花束を
Chapter2
「おはよう」
「おはよ~」
「美羽やっほー」
朝、登校すれば友達が声をかけてくれる。あいさつを返してくれる。それがこんなに幸せなんて。
…大げさかもしれないけど、私にはとっても嬉しいことで。入学して一週間は経った今でも、その喜びは縮まない。
「どうしたの美羽、なんだか嬉しそう。いいことあったの?」
「…朝からみんなに会えて、嬉しいなぁって」
私がそう言うと、顔を押さえる礼奈ちゃん、ほんのり赤くなった眺、ため息をついた雨月くん。
…え、なにか変なことでも言っちゃったのかな。
あまり良い反応ではないと察したため、不安になる。
もしかして、重かったのだろうか。言わない方がよかったのだろうか。
「美羽~っ!もう我慢できない!かわいい!天使か!」
そう言って、礼奈ちゃんが飛びついてくる。
嬉しいしひとまず安心したけど、ちょっと苦しい。
「…渋谷が我慢してないのはいつものことだろ」
「椎名うるさい。見た目で寄ってくる男子は我慢してるし。本当はアイツら一発ずつ殴りたい」
…爽やかな朝からするような会話ではないような……?
礼奈ちゃん、眺、二人とも朝から言い合いしないで。