暗鬱な君に花束を



眺は相変わらず笑顔だし、わかってないのは私だけなんだなってことを悟った。


「…ピュア美羽にはわかんないか…うん、そこが美羽のいいところでもあるんだけどね…」


「れ、礼奈ちゃんはわかるの?」


「なんとなくね。すごい抽象的だけど」


抽象的でもわかるのがすごい。私はこれっぽっちもわかんないっていうのに。


「そういえば美羽って、何か香水つけてるの?ハグするとき、すごいいい匂いするよね」


「えっ、急だね」


「えへへ、ごめんね。気になって」


謝る必要ないのに。ただ急だなって思っただけで。でも笑顔かわいいから、なんかどうでもよくなってきそう。


「あー確かに。美羽ってなんかいい匂いする」


「ヘンタイ椎名」


礼奈ちゃん、相変わらず眺には辛辣だね。


「えっとね…たぶん、柔軟剤だと思う」


いつも香水はつけてないし、となると洗濯のときにつく匂いかなぁって。


「柔軟剤?」


「うん。柔軟剤だけは、バラの香りって決めてるんだ」


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