暗鬱な君に花束を
高校でこそ友達欲しいのに。こんな調子じゃ先が思いやられる。せっかく中学からは遠いところ受けたのに。
声は裏返るし、振り向くことすらできないし。これから頑張らないとな…。
ひとり落ち込んだり自分を励ましていたりしていたら、いつの間にか出欠確認が終わってしまうところだった。
…あーあ、意気込んだそばからやっちゃった。クラスメイトの名前、半分以上聞けてなかった。
「…全員揃ってるな。9時から式だから、名簿順に並んで体育館のところに整列な。遅れんなよ」
それだけ言い残して、先生は出ていってしまった。着替えるのかな。
「…ねぇ、三条さん」
「…」
「三条美羽さん」
…あれ、呼ばれてる?
「…あ、え、わ…私?」
「このクラスに三条さんは一人しかいないよ」
そう言って笑ったのは、隣の席の爽やかくん。たしか、椎名くん。