暗鬱な君に花束を



半分くらい勢いに任せて言ったけれど、ポカンとした二人の顔を見てハッとした。


「友達できたことない」なんて暗いこと言われても、そりゃあ反応に困るだろう。やらかしてしまった。ごめんなさい。


「…あ、あの」


どうにかこの重い空気を破ろうと声をかけてみるけど、なんて言ったらいいのかわからない。


気の利いた言葉の一つも出てこない自分を呪ってやりたい。


「…美羽。ってことは、私がはじめての友達?」


「うっ、うん」


「なにそれ最高。じゃあこれから、いっぱい“友達”との思い出とか作ろう!」


どうしよう、泣きそう。


そんな前向きすぎること言ってくれるなんて。「なんで友達いなかったのか」とか聞かれちゃうんじゃないか、って、実はちょっとビクビクしてたのに。


「うんっ…!ありがとう…渋谷さん…!」


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