暗鬱な君に花束を



「……レナ」


「え?」


「礼奈って呼んで、美羽も」


「え……れ、礼奈…ちゃん」


頑張ってみようとはしたけど、いきなり呼び捨てはハードルが高い。


「……かわいい。天使。それしか言えない」


「…渋谷、重っ」


頭を抱えだした礼奈ちゃんと、それを引いたような目で見る椎名くん。


でもどうしよう、やっぱり二人の言ってることがわからない。


「あっ、椎名。美羽のはじめての友達は私だから。美羽と友達になるのは勝手だけど、それは肝に銘じておけよ」


「はいはい。…つーか口悪っ」


なんだか、二人が兄弟みたいに見えるのは気のせいかな。会話のテンポが速い。


「…ま、渋谷に振り回されたけど。改めてよろしく、美羽。俺、美羽の友達二号ってことでいい?」


「し、いな…くん」


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