拾い物は危険な新婚生活のはじまりでした
二人の姿を見て、周りはどよめきに包まれた。

「あの女は何!」「パパ、どういうことなの!」「若様!」

「奏様から離れなさいよ」様々な声がおこる中、二人は壇上に進んでいく

二人が壇上の席に着くと、東の御大が立ち上がった。

「静かに!」すると先程までの騒々しさが嘘のように静まり返った。

「今日は、儂の孫である桐生組若頭 桐生奏の婚姻の披露目に集まってもらい

 嬉しく思う。先日、この奏が結婚した、相手は西の成瀬組お嬢、成瀬小春だ。

 意義のあるものはいるか」

周りをぐるりと見渡し、射抜くような目を向ける。

すると一人の男が声を出した。

「御大、西の成瀬のお嬢は行方不明だったはずですが・・・」「あぁ」

「それについては儂が言おう。」西の御大だ。

「確かに家の孫娘は行方知れずだったが、この桐生の若頭が探し出してくれた。

 DNA鑑定も済んでおる。問題はない」

「まさか・・・本物なのか・・」ざわざわとそんな声が聞こえた。

「桐生と成瀬の婚姻だ。二人に何かあれば、俺達を敵に回すことになる。

 心しておけ」最後に東の御大が締めた。

騒いでいた女や組長や姐たちも、相手が成瀬のお嬢と知ると黙らざるしか

なかった。苦々しい顔を浮かべている。
< 29 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop