拾い物は危険な新婚生活のはじまりでした
第七章 出産
3月2日

2月の半ば、桐生組に西からトラックがきた

何事かと皆が届いたものを見ると、送り主はこーちゃんとお父さんだった

中には、京都の有名な職人さんが作ったという七段飾りの雛人形

私、もうお嫁に来ちゃったんですが・・・。

座敷に飾られた七段飾りは、さすがの豪華さで、桐生に飾ってあった雛壇飾り

と並んで飾られることになった。

「これだと、その子を産んだら早く女の子を作らないとね」

「・・・・そうですね」

笑ってそういう五月さんに顔が引きつったのはしょうがないと思う


検診の前に寄った組で、飾られた七段飾りの雛人形を見て、皆の愛情を感じて

いた。奏さんが迎えに来て、病院に向かう。

もうすぐこの子に会えると思うと、何とも言えず幸せな気持ちになった。

病院の診察室で先生が

「あ、お腹に痛みはない?」

「え、特には・・・時々、ぎゅっとした感じはありますけど・・・」

先生は奏さんの顔を見ながら

「陣痛が来ています。今日か明日には生まれると思うので、このまま入院

 しましょう」

「は、陣痛!」二人で顔を見合わせる。

私って、鈍感だったのかな?痛みが分からなかった。

「でも、予定日はまだ先ですけど、大丈夫なんですか?」

「もう臨月に入ってるし、それは大丈夫よ。安心して」




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