拾い物は危険な新婚生活のはじまりでした
お手洗いからでると、コーヒーを飲む奏さんが立っていた。

相変わらず、周りには奏さんの姿に見惚れている女の人達が声を掛けようかと

ソワソワしている様子が見て取れる。

奏さんの側に行くのを躊躇していると私の姿を目に留め、奏さんが近寄って

きた。「パ~、あ~」蓮が伸ばした手を奏さんが掴む

「スッキリしたのかぁ」私から受け取り抱き上げた

「羨ましい~、絵になる親子ねェ~」

そんな声が聞こえてきた。

そうだ、何を躊躇するところがあるのだろう、周りがどう思おうが、私と

奏さんはお互いが想い合う家族だ。

堂々としていよう。奏さんと蓮、そして私自身のために

そんな決意と共に奏さんを見ると、口角を上げ微笑んだ

「車に戻るぞ」

「はい!」「あ~!」

車は高速を西へと向かってすすむ

そして今日の宿泊地の高級旅館へと向かった

旅館は隠れ家風の離れで全ての部屋が海に面して建てられていた

全ての部屋に露天風呂が備え付けられ、その露天風呂から広がる海原を望む

ことができる。通路や部屋の明かりは淡く優しい色に灯されていた。

「とっても趣があって素敵ですね」
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