拾い物は危険な新婚生活のはじまりでした
車は、成瀬組に到着した。

桐生組と同じで大きな門をくぐり、現れる大きな日本家屋。

「「「 お疲れ様です! 」」」

車から降りると大きく低い声がかかる。

中に通され廊下を進む、ふと庭に目がいった。

今の時期らしい桔梗が咲いている、ああ、桐生の庭にも咲いていたなと

思いながら眺めていると一本の木が目に留まる。

「それは、ハナミズキの木よ」

「あ、お母さん!」

久しぶりに会うお母さんがにこやかに近づいてきた。

「あのハナミズキは、小春が生まれた時に植えた木なのよ。

 大きくなったわよね・・・」

お母さんは、目を細めハナミズキの木を見上げた

「小春がいなくなってから、いつもこの木を見ていたの。

 春になり白い花が咲くと、小春の誕生日だなって、今どうしているのかな

 って思いながら、いつもこの木に小春を重ねて見ていたの」

その切なそうな様子が、この20年の辛さを物語っていた。

私も蓮が突然いなくなってしまったら、耐えられないだろう・・・。

本当に会えて良かったと思いながらその姿を見つめた。
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