拾い物は危険な新婚生活のはじまりでした
第十章 兄の恋
「あ、そうそう、皆待ってるわ。こっちよ」

連れて行かれた先には、蓮を抱っこしたこーちゃん、お父さん、お兄ちゃん、

奏さんがお茶を飲んで談笑していた。

私が庭に気を取られているうちに、先に来ていたらしい。

こーちゃんは蓮を見ながら

「本当に奏をそのまま小さくしたみたいだな・・」と奏さんそっくりのその

顔をまじまじと見ていた。

暫くするとお兄ちゃんが私と奏さんに声をかけ席を立つ、連れていかれた先は

シックな家具で統一された洋室、お兄ちゃんの部屋らしい。

「お兄ちゃんの彼女はどこなの?」

「ん、あぁ、今日はその件で小春に相談があるんだ・・・実はな・・・」

重い口を開いたお兄ちゃんの話は、私と奏さんの予想を覆すものだった。

昨年のお盆の時、お母さんに頼まれ花屋に花を買いに行った。その時、

接客してくれた店員さんにお兄ちゃんは一目惚れをしてしまった。

でも、自分は極道の若頭、一般人のその人をこの世界に引き込むわけには

いかないと思い、声をかけることもできないまま週に一度はそのお店に

花を買いに行っていたらしい。

だが、一年経っても自分の気持ちは強くなるばかり、どうしたらいいのか

思い悩んだ時、私達の事が頭に浮かんだと、二人ならこの気持ちが分かる

のではないかと思ったようだ。
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