拾い物は危険な新婚生活のはじまりでした
お兄ちゃんと乗った車は、一軒の花屋の前で停まった

白い石畳の先に南仏を思わせるアンティーク風な外観のフラワーショップ

店先にはオリーブの木があり、色とりどりの花たちがインテリアのように

お店の中を彩っている。

一見してセンスの良さをうかがわせる。

並んでいるアレンジもグリーンがふんだんに使われていて、優しい色合いに

アレンジした人の人柄が表れている感じがした。

「いらっしゃいませ」

心地よいソプラノの声が聞こえた。

背中まで伸びるストレートの黒髪の綺麗な女の人、その人がお兄ちゃんの顔を

見て顔を綻ばせる、だが、すぐ後ろにいる私の姿を見つけるとその顔が少し

曇った気がした。

「今日は、何をお探しですか?」

「あぁ、今日は久しぶりに妹が遊びにきたんでな。何か妹に合いそうなのを

 選んでくれないか」

「妹さん・・・」

「あ、そうなんです!兄が素敵な花屋さんがあるって言うので、連れてきて

 もらったんです。ホント、素敵なお店ですね!」

その人の表情が輝く

「ありがとうございます。お兄さんにはいつも御贔屓にしてもらってるんですよ

 妹さんは好きな花とか色はありますか?」

「じゃあ、ピンク系で何かお願いします」

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