狼少年にキスをした



もしかしたら悪徳商法とかじゃなく、本当にただ話しかけただけなのかもしれない。
もしそうだとしたら……私、すごくひどいことしてない……?


そう思った瞬間、「堤凪沙(つつみなぎさ)です……」と小さく答える声が自然と口から紡ぎ出している自分に気が付いた。

それを聞き、嬉しそうな顔をする彼。


そして次の瞬間には


「へー……。堤凪沙ね。了解。んじゃ凪沙、行こっか?」



「はっ?えっ!?」



彼に手を引かれ路地裏に連れていかれる自分がいることにも気付くこととなった。

唖然としてしまった私は"いきなり呼び捨てだし、その前にどこにつれてくの?"と頭の中で突っ込みをしながらも、結局要という男性に腕を掴まれズンズンと前に進むのに流されるしかなかった。









< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop