ブラックアップル
〜ブラックアップル〜
私は、街外れに住んでいるアウラ。
今日も人とは会わず、森で静かに暮らしてい
た。
話す相手はいないが、それでも構わなかっ
た。
森とあれがいれば、それだけで十分だったから。
私は、今日も森の奥深くにある銅像まで足を
運んでいた。
「今日も、綺麗にしてあげますね!」
そう言い私は、バケツで汲んだ水を少しずつ
銅像にかけながら綺麗にしていった。
「ふぅ、こんなものかしらね。」
私は、この銅像に会うことが一番の楽しみだ
った。
たくましくて、凛々しくて…。
それ位、また会いたかった。
「は!いけない!そろそろ、帰らなくち
ゃ!」
私は、慌てて立ち上がり家へと向かった。
「今日は、ただでさえ天気が悪いのに…!」
その時、私は足が徐々に歩くスピードを緩め
立ち止まった。
そして、木の影に隠れ、見ると私の家に兵隊
が三人立っていた。
『フルーツ国の兵隊さん達が、何故私の家
に…?』
私は、まじまじ見ていると誰かが私の肩を思
いっきり掴んだ。
肩をビクつかせて、後ろを振り返るとそこに
はもう一人子兵隊が立っていた。
「は…離して…!!」
振りほどこうとするが、相手は男の人なの
で、どんなに力を入れようと、振りほどけな
かった。
私は、諦めて降参すると、
「私を、どうする気?」
そう問い詰めると、兵隊達は腰にあった剣を
私に向けてきた。
「ブラックアップルという称号を持った人間
は、生きてはいけない掟があるんですよ。よ
って、これにて処刑する!!」
「……え?」
「ふん。大人しくしていれば、痛くない。た
った一瞬だか……!」
私は、兵隊さんに噛み付いた。
「いって…!!!何するんだ!?」
「生憎、人に言われて死にたくないんで!死
に場所は、自分で見つけたいし!」
私は、そう言い森の奥に走っていった。
「何をしてる!?追えー!!」
私は、走り続けた。
後ろからは、断末魔の様な兵隊の叫び声が聞
こえるが、今は必死に走り続けた。
私は……。
私は、まだ生きていなきゃ…!
お母さんのために、あの銅像を守らなき
ゃ…!
「キャッ!!!」
「捕まえたぞ!!」
私は、髪を引っ張られ尻もちをついた。
「無駄な抵抗をするな!」
すると、兵隊は躊躇いもなく剣を私の首を目
掛けて振り下ろそうとした。
あぁ……。
私は、死ぬのか…?
お母さん、ごめんなさい。
あの銅像を……、シュウを守れなくて。
私は、死を覚悟し、ゆっくりと目を閉じた。
ドシャーーーーン!!!!
雷の音が、森中に響いた。
私は、震えながら恐る恐る目を開けると、兵
隊の姿がなかった。
あ……あれ?
誰もいない…。
それとも私…。
「死んだ?」
「いや、アウラは生きてるよ。」
その言葉に、胸が高鳴った。
聞き覚えのある声で、何処か心が落ち着くそ
の声に振り返ると、そこにはシュウが立って
いた。
「え?本当にシュウ?生きてるの?」
私は、近付こうとしたその時、シュウは右手
を前に出し、来るなのサインを出した。
「俺は、とうに死んでる。」
「でも、こうしてまた会えたじゃん!」
「お前、ブラックアップルって知ってる
か?」
私は、その言葉に肩がピクリと動いた。
「…知らない。ねぇ、ブラックアップルって
何なの?何がそんなに悪いの?」
私は、泣きながらシュウに問いかけた。
「ブラックアップルは、10000人に1人しか
いない、死人を呼び醒ます称号なんだ。」
…死人?
「この称号を持った者は、即時抹殺されるは
ずなんだが、国はまだお前の存在に知らなか
ったらしい。」
そして、シュウは私に近づくと黒い林檎の模
様がついた小型の剣を取り出した。
「これで、俺を殺せ。」
「え…?な…なんで?」
「この剣はな、死んだ人を刺すと林檎が赤色
に染まり、ただの称号になる。何も危害がな
くなる。だから……。」
「それって、シュウを殺すって事だよね?」
私は、強い口調でシュウに問いかけた。
ずっと、会いたくてたまらなかった人にやっ
と会えたのに……。
なんで…?
「俺は、もう死んでる人間だ。こんなの、気
にしないよ。だから…。」
シュウは、私の手に剣を握らせ刃をシュウに
向けさせた。
「嫌…嫌だよ!私、話したいこと沢山あるの
に…!」
私は、抵抗しようと剣をおろそうとすると、
「俺もだよ!!!」
その強い口調が、森に響き渡った。
「俺は、お前に生きてほしいんだ!!この世
界で、俺が生きれなかった世界で、生きてほ
しいんだよ!!!」
私は、シュウの瞳から大粒の涙がこぼれてい
るのに気づいた。
それは、ゆっくりと別れを惜しむかのよう
に…。
私は、その瞳に涙がこぼれそうだった。
今まで、私はずっと1人で生きてきたのだとばか
り思っていたが、そうではなかった。
ちゃんと、見てくれて、私の事を想ってくれてた
んだ。
そしていつの間にか、手の震えが止まった。
「私は…、シュウともっと話したい。もっと、
一緒にいたい。けど……!!」
私は、歯を食いしばりながら笑顔で言った。
この笑顔が、忘れられないくらい…。
『この世界で生きるから、さよなら。』
私は、剣を前に突き出し刺すと、辺りは光に
包まれ私は、目をつぶった。
あぁ、もし会えたら言いたかった言葉は、さ
よならじゃなかったのに…。
最後の言葉は……。
『ありがとう。』だったのにな……。
今日も人とは会わず、森で静かに暮らしてい
た。
話す相手はいないが、それでも構わなかっ
た。
森とあれがいれば、それだけで十分だったから。
私は、今日も森の奥深くにある銅像まで足を
運んでいた。
「今日も、綺麗にしてあげますね!」
そう言い私は、バケツで汲んだ水を少しずつ
銅像にかけながら綺麗にしていった。
「ふぅ、こんなものかしらね。」
私は、この銅像に会うことが一番の楽しみだ
った。
たくましくて、凛々しくて…。
それ位、また会いたかった。
「は!いけない!そろそろ、帰らなくち
ゃ!」
私は、慌てて立ち上がり家へと向かった。
「今日は、ただでさえ天気が悪いのに…!」
その時、私は足が徐々に歩くスピードを緩め
立ち止まった。
そして、木の影に隠れ、見ると私の家に兵隊
が三人立っていた。
『フルーツ国の兵隊さん達が、何故私の家
に…?』
私は、まじまじ見ていると誰かが私の肩を思
いっきり掴んだ。
肩をビクつかせて、後ろを振り返るとそこに
はもう一人子兵隊が立っていた。
「は…離して…!!」
振りほどこうとするが、相手は男の人なの
で、どんなに力を入れようと、振りほどけな
かった。
私は、諦めて降参すると、
「私を、どうする気?」
そう問い詰めると、兵隊達は腰にあった剣を
私に向けてきた。
「ブラックアップルという称号を持った人間
は、生きてはいけない掟があるんですよ。よ
って、これにて処刑する!!」
「……え?」
「ふん。大人しくしていれば、痛くない。た
った一瞬だか……!」
私は、兵隊さんに噛み付いた。
「いって…!!!何するんだ!?」
「生憎、人に言われて死にたくないんで!死
に場所は、自分で見つけたいし!」
私は、そう言い森の奥に走っていった。
「何をしてる!?追えー!!」
私は、走り続けた。
後ろからは、断末魔の様な兵隊の叫び声が聞
こえるが、今は必死に走り続けた。
私は……。
私は、まだ生きていなきゃ…!
お母さんのために、あの銅像を守らなき
ゃ…!
「キャッ!!!」
「捕まえたぞ!!」
私は、髪を引っ張られ尻もちをついた。
「無駄な抵抗をするな!」
すると、兵隊は躊躇いもなく剣を私の首を目
掛けて振り下ろそうとした。
あぁ……。
私は、死ぬのか…?
お母さん、ごめんなさい。
あの銅像を……、シュウを守れなくて。
私は、死を覚悟し、ゆっくりと目を閉じた。
ドシャーーーーン!!!!
雷の音が、森中に響いた。
私は、震えながら恐る恐る目を開けると、兵
隊の姿がなかった。
あ……あれ?
誰もいない…。
それとも私…。
「死んだ?」
「いや、アウラは生きてるよ。」
その言葉に、胸が高鳴った。
聞き覚えのある声で、何処か心が落ち着くそ
の声に振り返ると、そこにはシュウが立って
いた。
「え?本当にシュウ?生きてるの?」
私は、近付こうとしたその時、シュウは右手
を前に出し、来るなのサインを出した。
「俺は、とうに死んでる。」
「でも、こうしてまた会えたじゃん!」
「お前、ブラックアップルって知ってる
か?」
私は、その言葉に肩がピクリと動いた。
「…知らない。ねぇ、ブラックアップルって
何なの?何がそんなに悪いの?」
私は、泣きながらシュウに問いかけた。
「ブラックアップルは、10000人に1人しか
いない、死人を呼び醒ます称号なんだ。」
…死人?
「この称号を持った者は、即時抹殺されるは
ずなんだが、国はまだお前の存在に知らなか
ったらしい。」
そして、シュウは私に近づくと黒い林檎の模
様がついた小型の剣を取り出した。
「これで、俺を殺せ。」
「え…?な…なんで?」
「この剣はな、死んだ人を刺すと林檎が赤色
に染まり、ただの称号になる。何も危害がな
くなる。だから……。」
「それって、シュウを殺すって事だよね?」
私は、強い口調でシュウに問いかけた。
ずっと、会いたくてたまらなかった人にやっ
と会えたのに……。
なんで…?
「俺は、もう死んでる人間だ。こんなの、気
にしないよ。だから…。」
シュウは、私の手に剣を握らせ刃をシュウに
向けさせた。
「嫌…嫌だよ!私、話したいこと沢山あるの
に…!」
私は、抵抗しようと剣をおろそうとすると、
「俺もだよ!!!」
その強い口調が、森に響き渡った。
「俺は、お前に生きてほしいんだ!!この世
界で、俺が生きれなかった世界で、生きてほ
しいんだよ!!!」
私は、シュウの瞳から大粒の涙がこぼれてい
るのに気づいた。
それは、ゆっくりと別れを惜しむかのよう
に…。
私は、その瞳に涙がこぼれそうだった。
今まで、私はずっと1人で生きてきたのだとばか
り思っていたが、そうではなかった。
ちゃんと、見てくれて、私の事を想ってくれてた
んだ。
そしていつの間にか、手の震えが止まった。
「私は…、シュウともっと話したい。もっと、
一緒にいたい。けど……!!」
私は、歯を食いしばりながら笑顔で言った。
この笑顔が、忘れられないくらい…。
『この世界で生きるから、さよなら。』
私は、剣を前に突き出し刺すと、辺りは光に
包まれ私は、目をつぶった。
あぁ、もし会えたら言いたかった言葉は、さ
よならじゃなかったのに…。
最後の言葉は……。
『ありがとう。』だったのにな……。