仁瀬くんは壊れてる
「授業に遅れてまで見ていたいほど興味ない」
「うちは見物料払ってでも仁瀬くんを見つめていたいよ。なんなら私生活覗かせて欲しい」
「…………」

 綺麗な顔立ちしてるな、とは思う。
 でも。それだけだ。

 昔からそうだった。
 流行りのイケメン俳優だとか。
 人気アイドルグループだとか。

 みんなが関心あるものに惹かれない。

 というよりは、そもそもに、男子に夢中になったことがないのだ。

「うちら、高校生だよ? 青春だよ?」
「睡眠を愛そうじゃないか」
「さすが省エネ」

 極力、動きたくない。
 好奇心も行動力も、お母さんのお腹の中に忘れてきた。

「恋、しなよー」
「却下」

 男子と何を話せばいいかもわからないし、手を繋ぎたくなる気持ちも理解できない。

「うちが花をイマドキ女子に変えてあげる!」

 イマドキでなくて悪かったな。
< 3 / 136 >

この作品をシェア

pagetop