仁瀬くんは壊れてる
 ――解放なんて、してあげない。

 そう言われた気がして。
 サアッと血の気が引いていく。

 このひとは。
 わたしが、ボロボロになるまで追い詰めてくるつもりだろうか。

 そのためなら。


 ――――沙羅だって利用する。


 そう。
 あの日捨てられた、図書室の本のように。
< 45 / 136 >

この作品をシェア

pagetop