仁瀬くんは壊れてる
「僕からすれば。花が他人と心を通わせている方が不快だけど。いいよ。これからは断ろう」
「ことわる?」
「花がさせてくれるんだろ?」
「わたし、が?」
「花とできるなら他の子としないであげる」
「……キス?」
「キスも触れ合うことも」
「っ、おかしいよ。仁瀬くん」
「おかしいのは、花だよ」
「なに……が」
「さっきから。まるで僕にまっすぐに愛して欲しいみたいな言い方してるんだ」

 ハンマーで心を打ち砕かれたような、衝撃だった。

「サラを裏切れ」
「……いや」
「友達なんて作るな。僕とだけ繋がってろ」
「いやだ」
「心配しなくても。一人ぼっちになった花も。醜い花も。可愛い花も。僕が摘んで大切に育ててあげる」

 仁瀬くんは、
 わたしのこと突き落としたかと思ったら、

「どうしてそんなこと、言うの」
「花が。大好きだから」

 ――――抉(えぐ)ってくる。
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