仁瀬くんは壊れてる
 取り返しのつかないことをしてしまった、という自覚がある。

 それでも。
 昨日、彼のくれた言葉もぬくもりも、ニセモノじゃなかったと。
 本物だったと思いたい。

 仁瀬くんは、脆い。

 自信家で、人気者で。
 弱みなんて一つもないんだよって顔して――

『埋め合おう。似たもの同士』

 本当は、誰よりも孤独なのかもしれない。
< 74 / 136 >

この作品をシェア

pagetop