仁瀬くんは壊れてる
 どこかキスはフィクションって感じがする。
 映画や本の世界の話というか。

 同級生がそんなことしてるなんて、想像できない。というか、したくない。

「そ、そりゃあ。……したいよ?」

 沙羅が耳まで赤くなっている。

「してどうするの」
「ええっ?」
「そのあと、どんなリアクションとればいいか。さっぱりわからない」
「それは。まあ。なるようになるんじゃない?」
「ふーん」

 まあ、経験としてなら。
 少なくとも死ぬまでに一度くらいしておいてもいいのかもしれない。

 ただ、それが、いつの話になるやら。
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