仁瀬くんは壊れてる
「……馨さん」
「俺は。助かるって、信じてる」
 …………!!

「医師の自分が言うのもなんだけど。こういうのってさ。どれだけ俺たちが助けたくても、本人の気持ちが必要なんだ。巧に、生きたいって心から思わせたい」

 ――花は、たった1%の危険性を信じるのか。

 ――だったらきっと。僕は。もうすぐ君の前から消えてしまうね

「君ならできるんじゃないか」

 ――優しいね。今日の花は。

 ――僕が病人だから? だったら。毎日、病人でいればいいか。

 ――心臓がとまるまで。花に傍にいてもらいたい。

「……っ、巧くんに。会ってきます」

 ねえ、巧くん。

 あなたに伝えたいことも。
 あなたとやりたいことも。
 たくさんあるよ。

 わたしがこんな気持ちになれたのは。
 紛れもなく、あなたのおかげ。

 だから、一人にしないで。
 一人になろうとしないで。
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