仁瀬くんは壊れてる
「この際だから。玲二も暴露しておけば」
「いいよ、俺は」

 ――暴露?

「うちの口から話させたい?」
「……ちょっとのま。二人にしてもらえるか」
「言われなくても。果歩たちと合流してくる〜」

 そういうと、沙羅が部屋から出ていった。

「えっと。玲二くん。暴露って……」
「まあ。ぶっちゃけ、花以外のメンバーは気付いてることで。暴露ってほどのモンでもないんだけど」

 みんなが知っていて。
 わたしが知らない、玲二くんの秘密――
「まだはやいって。躊躇してた」
「……躊躇?」
「知り合ったばっかだったし。それでなくても、花は他人への関心薄かったし。鈍感で。だから、大切にしていけたらと思った」

 さっきまで五人で騒いでいたのが嘘みたいに、シンとしている中。

「いや、こんなの。言い訳だ」

 玲二くんの声が切なく響く。

「欲しいなら。どんな手を使っても手に入れるべきだった」

 まるで、別れの挨拶をするみたいに。

「好きだ。花のことが。友達としても。それから、女の子としても」
「玲二、くん」

 わたしは、本当にバカだ。

「そんな悲しそうな顔するな。言ったろ。俺は花の笑顔が好きだって」

 こんなに優しい人に。
 身勝手に甘えて。

 たくさん、傷つけてしまった。

「ごめ――」
「謝るな」

 そういうと、玲二くんが、わたしを抱き寄せた。

「三秒ルール」
「……え」

 そういってわたしを離すと、
「なかったことにしてくれ。今の」
 柔らかく微笑んだ。

「俺だけの思い出に。もらっとく」
「……玲二くん、が。キザ」
「引いた?」
「ううん」
「あー、やわらけえな。花のカラダ」
「……っ」
「はあ。やっぱ、好きだわ」
「………!!」
「誰かさんに愛想つかしたら。俺んとこ来いよ」
「尽かす予定、ない」
「知ってる」
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