vrafara
「まーた変質者ー?」
「なんか、隣の中学生が半裸で追いかけ回されたって聞いたよー」
「あれだべ?お前だべ?」
「俺は幼女に興味はないっ!」
閉まる教室の扉
気だるそうに遠ざかる担任の足跡に
ザワザワと笑うクラスの声。
「でもまあ、高校生を追いかけ回す変質者はおらんよねー、今時の高校生はすぐネットにいろいろ
晒すだろうし」
「逆に怖いよねwww」
「でもだから小さな子とかを狙うんだろうねー」
「そうかもしれないねー、うちの近所の子も
ついてこられたことあるって言ってたもん」
「うわあ、きもいー!」
でも、そんなん気にしてたら
遊びにも行けないじゃんね
なんて、
笑う同級生に
「そうだねー」
軽く笑顔で返して
机に頭を乗せて
ゆっくりと流れる雲を見上げた
緩やかな風に
静かに動いていく空の風景
…笑えるのは
実際に遭遇してないから
…怖さを知らないから
「由良ー?教室移動だよー」
「あ、うん、待ってー」
消えた8年前の記憶
靄のかかったままの空白の時間
多分
あたしは
…その怖さを知ってる