vrafara



雲はれて晴天
夜空には淡く光る三日月

灯篭の灯りにざわつく空気

色とりどりの出店
浮かれた笑い声


そして隣には









「うわ、結構混んでるな。足元大丈夫?」

「あっはっはい!」










…いつものジャージや制服とは
まるで雰囲気の違う松木先輩


まあ…







「やっぱり女子がいるっていいねー!」

「松木、グッジョブ!」

「お前ら、やかましいわ」








他の先輩や塔矢も一緒なんだけども。








でも
それでも






「…私服カッコいいね」
「うん」




学校じゃ見れない先輩の姿
ジーンズにただのTシャツに





あたしもあかりも
それだけで
緊張とドキドキで
いっぱいだった











「花火開始何時だっけー?」

「7時半っすね」

「ならそろそろ向かっとくかー」






ぞろぞろと歩く7.8人の集団
途中途中で寄り道しながら
わいわいガヤガヤ

こんな風に
みんなでどこか行くのなんて初めてだった










「由良の浴衣かわいいねー」

「あかりのも似合ってるー!」









お母さんに無理言って
新しく新調した浴衣


ちょびっとだけ背伸びして
大人っぽい柄選んで…


子供に見られたくなくて






…いつもより可愛いって…
少しでも思われたくて。





「女の子って浴衣着るとイメージ変わるよねー」


「…変…ですかね」


「ううん?華やかでいいねー」







たいして意味が無いってわかっていても
かわいいって笑顔を向けてくれる先輩に

胸の音はずっと高鳴ったまま









…デートってしたこともないけど

きっと
こんな気持ちなんだろうなぁ










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