vrafara





「遅えっ!由良いい加減にしろよ!」





広い路地に響く
野太いイライラ声と
だんだんリズムが加速してる
地面を叩く足の音。


気持ちいいはずの日の光を
遮るかのようにあたしの目の前に立つのは








「毎日毎日、用意するのに何時間かかんだよ」








あたしの眉間のシワよりも
さらに絶壁並みに深く掘られたシワを眉間に残す

隣の住人。








…機嫌悪そうなしかめっ面に
逆光で栗色の髪が金髪みたいで
ヤンキーみたいになってるし。










「…待たなくていいって言ってるじゃん」

「あ?」

「…別に」







別に一緒に登校する義務も決まりもないんだから
さっさと行けばいいのに

それを何度言っても
右から左で人の話を全く聞きゃしない。





「…小学生じゃあるまいし」

「見た目、まんま小学生じゃん」

「うるさい、ヤンキー」

「あ!?おまえ、今何つった⁈」









たまたま生まれた年が同じで
たまたま小中一緒で
たまたま同じ高校受かって
たまたま同じ電車に乗る


あたし、片桐由良の目の前で
イライラをばらまく男


山石 塔矢






…朝からほんと不快…。


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