vrafara








「まー、今に始まったことじゃないからねー」





朝のホームルーム前

ザワザワと
笑い声飛び交う教室内

後ろ窓際の席で
外を眺めつつうなだれてるあたしに
抑揚なく頑張れーって口にしながら
スマホいじるのは

中学からの付き合いの皆月あかり。





塔矢の謎行動は
中学でも一時期話題で。

思春期真っ只中の同級生の間でも
噂と冷やかしのネタだった。

でも
周りがおもしろがって騒ごうが
登下校以外、校内でほぼほぼ接触する様子のない
塔矢に

そのうち周りが飽きちゃったっていう流れを
知ってる1人。







「しかし、高校入っても毎日って…
犬の散歩並みに日課感すごいねぇ」







もう習慣の域かねって
廊下で仲間とかたまってる塔矢を
マジマジと眺めた。

仲間と壁に寄りかかり
スマホゲームでもしてる塔矢

時折、ふざけて小突き合って笑う横顔

普段、あたしの前では絶対しない。


一緒にいても
楽しくない

そのオーラは
歩く姿から常にダダ漏れ。











「嫌なら待たなきゃいいのに。
こっちだってうんざりよ」




そのせいで
塔矢推しの一部の女子には睨まれるし。











「まあ…あれじゃない?
大事な幼なじみに変な虫が寄り付かないように
虫除けみたいな」













虫除け…







「…群がるどころか、過去遡っても1匹たりとも
そんなもの来たことないけど」








あかりみたいに
スタイル抜群、遠巻きにもファンがいるくらい
かわいいならともかく。


…ほんと比較するだけ
無駄だと誰もが思えるほどに

あたしは
ちんちくりん。



みんなが成長期だって最中、
たいして伸びもせずに
あっという間に身長も止まり

万年、背の順で並べば一番前。


出るべきとこは
10年計画で長い目で見守るかーくらいに
先行きは未定。




…男の子と並ぶと
電柱にはセミ状態。












「…まあ…世の中には幼女趣味って人も
いるだろうし…」






うん。
あかりさん

それフォローに一切なってないですけどね。































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