vrafara
「騒いでないでさっさと座れー、
出欠とるぞー、相沢ー」
「はーい」
…それは多分
もう誰の記憶にもない話。
同級生の大半…
ほぼ全員が知らない話
知っていたとしても
今だに記憶に残ってる人はほぼ皆無だろう
他人にしてみたら
それくらいに
ああ、そんなこともあったよねって話でしか
きっとない
よくあること…なんて
さすがにそうは言わないにしても
どんな物事も
何事もそう
時間が静かに過ぎるにつれて
人の記憶から
全てが薄れて消えていく
それはあたしも
例外なく同じで。
長い時間と平凡な日常に
だんだんと
靄がかかっていくように
いろんなものが記憶から消えていく
静かに…
ゆっくりと。
「欠席は高橋だけなー、
朝のホームルーム終わりー
あ、そうだ」
たとえそれが
「また変質者出たって警察から気をつけろって
お知らせ来てるから女子は遅くまで出歩くなよー」
あたし本人に起きた…
大きなことだったとしても。