ﾓﾝｽﾀｰﾊﾝﾀｰﾙﾁﾌｪﾙ
「うわぁ～、アンちゃんって王女様だったんだ！　ってこうしてる僕って馴れ馴れし過ぎるよね？」

　レインは自分の頭を撫でながらも、少し照れながらかしこまっていた。

「でもなんでまた城を抜け出すような事を？」

　いくらテスタメントでも城に乗り込むような事はしないだろう。

　そういった所には大勢の護衛が付いているもんで、少人数で攻略できるもんじゃないのは誰だって承知のはずだ。

　それなのにどうしてまた安全地帯を抜け出し、いつ狙われてもおかしくない状況を自ら作ったのか。

「それは、城が安全ではなくなったから…　だろ、王女様？」

　アンたちがアレックの質問に少し答えずらそうだったので、シックルが代わりに説明を始めた。

「安全じゃなくなったってどういうことなの、シックルさん？」

　レインがその言葉の意味だけでは不十分だと言うように、シックルに質問をした。

「三年前になるけど、アンとノアがいた城が何者かに襲撃されたのさ。おそらくテスタメントの奴らが以前活躍した英雄の一人を頼りに、かぎつけてやってきたんだろうな」

　十五年前の黒龍が再臨した時にそれを再封印した四人の滅龍士、今では英雄と呼ばれているうちの一人である、一国を治めていたフランベルグ王。

　どうやらテスタメントはその四人の滅龍士を頼りに各地へと探りを入れているらしいのだ。

「そうさ、あの時俺はすぐさま王室に駆けつけてフランベルグ王に報告した。だが王は俺にアンを任せると言って俺たちを隠し通路から逃がし、一人残ってテスタメントの奴らと戦った」

　ここまで話すとノアはいったん話を中断して下を向いたまま、腕組みしている手を強く握っていた。

　アンも膝の上に乗っている両手がわなわなと震えている。
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