モンスターハンタールチフェル
 でも、こんなことって……



「じゃあ俺の本当の父さんと母さんは……?」

 そうだ、今目の前で泣き崩れている女性が母親で、ある仕事で命を落とした男性が父親でないとすると、いったい誰が本当の両親で、今どこで何をしているのか知りたかった。



「分かったわ、荷の重い話になるけど大丈夫?」

「……」



 アレックは少し戸惑ったが、どうしても知りたい気持ちがあったので、母親の目を見て頷く。

「それじゃ、前に私の夫が亡くなった時の話は聞かせたわよね?」

 覚えている。

 2、3年前の話になるだろうか?

 今の父親と母親の二人が現役ハンターだった頃、二人の友人たちとで王都の依頼を請け、沼地までモンスター討伐に出かけた時の話。

「そう、私たちは沼地のキャンプの近くで一つの壊れた竜車(モンスターの力で動く車)を見つけたの。
 その中に五歳くらいだったかしら……

 あなたが気絶していたわ。
 近くを色々探しまわったけど、あなたの両親らしき人がいた形跡はなかった。
 つまり、本当のことを言うと、あなたの両親のことは全く知らないの」



 そんなことがあったなんて信じられない。

 信じられないがこれが真実なのだろう。
< 8 / 645 >

この作品をシェア

pagetop