強すぎる彼女と優しすぎる彼
素直じゃない
「高岡」
「はい」
佳子は龍仁に呼ばれて龍仁のデスクに向かった。佳子は主任という立場。龍仁は課長。二人はチームを取りまとめながらひそかに付き合っていた。

「来月の浅岡企画のイベント、現地に同行できるか?」
「確か広島でしたよね?」
「あぁ。もうすぐ企画が募集される高崎市民会館のプレゼンにつながる建築構造なんだ。見てみる価値があると思うぞ。」
「ありがとうございます。同行します。」
「了解」
龍仁の笑顔につられて思わず緩みそうになる頬に力を込めて、佳子はビジネススマイルを作った。

佳子が龍仁のデスクから離れると後輩のいかにもかわいらしい女子力の高い宮里梨香子が腰をくねくねさせながら龍仁のデスクの前に立っていた。

「かちょー。ワイズプロの広告がうまく進まなくて~どうしたらいいですか?」
「ワイズプロは高岡も担当だろ?まずは高岡に相談してみたらいいんじゃないか?」
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