強すぎる彼女と優しすぎる彼
夕焼けに空が染まり始めたころ佳子は龍仁から体を離した。さっと涙をぬぐいぎこちなく微笑む。

「一回しか言わないから聞いてね。」
「ん?」
「私がいやになったらその時はちゃんと言ってね。」
「ばか」
「聞いて」
「・・・」
佳子の覚悟を知って龍仁は黙った。

「私、治療したいと思ってる。どうなるかわからないけど治療してみたい。でも、タイムリミットを決めたいの。自分自身のためにも。」
龍仁は佳子をまっすぐに見ている。
「3年。」
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