強すぎる彼女と優しすぎる彼
「気持ち悪い。お水。」
龍仁の部屋で目覚めた佳子は寝室からリビングへ目をこすりながら向かった。
「おはよう」
キッチンに立っていた龍仁は佳子の方へコップを持ってきた。
「ほら」
佳子にコップといつも佳子が二日酔いの時に飲む薬を渡した。
佳子は寝ぼけながら薬を飲み水を口に含んだ。
「ごほっ!」
「おいおい」
むせた佳子の背中をとんとんとさする龍仁。佳子は急に目が覚めて龍仁を見た。

転勤の話をされそうで急に怖くなった。

「今日はせっかくの休みだから、話さなくていいか?」
龍仁には佳子の考えも思いもお見通しだ。

龍仁の言葉に佳子は龍仁の手を引いて浴室に向かった。
「一緒に入るのか?」
佳子は無言で頷く。
「わかった」
二人はほとんど話をしないまま一緒にお風呂に入った。

喧嘩をしたとき、といっても一方的に佳子が怒ることが多いが、そんなときは話をしないままふたりでお風呂に入る。

一方的に感情をぶつけてくる佳子でも、最後は黙って龍仁の手を引き甘え始める。
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