強すぎる彼女と優しすぎる彼
「3年?」
「うん。3年でダメだったら治療をやめる。まずは3年。」
「わかった」
「あとね、仕事したい。」
「仕事?」
「うん。きっと治療だけだったら私ダメになっちゃうから。仕事させてほしい。パートでいいの。なんだっていい。治療にはお金だってかかるから、少しでも足しにしたいし。」
「お金の心配なら」
龍仁の言葉に佳子は首を横に振る。

龍仁の収入だけでも治療はしていける。でもそれだと自分自身への罪悪感が膨らんでしまう。

「お願い。私がそうしたいんだ。」
一生懸命笑おうとする佳子の顔がゆがんで涙があふれる。
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